まさに全てにおいて留まることを知らない北京

昨年12月初め、僕は株式会社スピーディの福田社長と北京に出張した。「また?」と思われる方もあると思うが、北京は中国の首都であると同時にエンターテインメント業界のいわばメッカであり、常に何かが起こっている非常にエキサイティングな街で、ビジネスにはもってこいの場所だ。映画や各種動画制作の現場を見学したり、業界関係者とのミーティングなども行ったが、大きな成果は,具体的な商談が速いペースで進展したことだ。北京では何ごとも決まるのが速い。

「坂井直樹コンセプトワーク展」が決定

今回北京で出会った北京復興創展文化有限公司のCEO林凡(Fan Lin)氏からのリクエストで、「坂井直樹コンセプトワーク展」を北京で開催することになった。売り込みをしたわけではなく,自己紹介程度にこれまでの実績を披露したら、ほぼそれだけで決まってしまった。

プロデュースはスピーディ社、アートディレクションは年来の友人アラン・チャンにお願いする。中国は日本のバブルのような経済の発展形態を経ていないので、僕のレトロフューチャーデザインなどが新鮮に映るらしく、興味を持ってくれたのだ。中国の人々にどう評価されるか楽しみだ。

会場は天安門のごく近くに位置するTRB HUTONGで,伝統的な建築物が軒を連ねる古くからの北京が息づくエリアである。パイクカー(Be-1,パオ、フィガロ)など自動車7台の実物を展示する計画もあって、1990年のスペイン展以来の規模になりそうだ。TRB HUTONGは、古い寺院をリノベーションして新旧の中国を融合させた今注目のスポットで、スタイリッシュな林凡氏経営の高級レストランもあり、集客も期待できそうだ。

「黒馬娯楽」との業務提携も進展

もうひとつご報告がある。「黒馬娯楽」という、中国最大の音楽フェス”Strawberry Music Festival”を成功させた実績を持ち、大手芸能事務所を運営する日本のエイベックスのような会社がある。その会社から、「NS_CONCEPT」髑髏シリーズを中国で販売したいとのオファーがあった。

日本ではビームスジャパンで販売していたものだ。この件も特にこちらから持ちかけた結果の話ではない。中国の実業家たちの貪欲なまでのビジネス姿勢には目を見張ってしまう。中国でも「髑髏」は人気らしく、ジーンズ、ジュエリー、陶器,トートバッグなどに加えて,比較的安価に販売できるものも追加したいという。この件については現在調整中だが,ぜひいい形で実現させたい。

中国の留まることを知らない変化を再認識

今回の北京出張で改めて実感したのは、万事につけての中国の相変わらずのスピード感だ。あらゆる交渉ごとが時をおかずに決まっていく。若い世代が決定権を持っていて、即断即決に近い速さで物事が決まっていく。

一方で、昨日好調だった事業が一夜にして不調に陥る事態も起きていて、以前このコラムでも紹介した,電子タバコの「YOOZ」や、KOLを組織して事業化した「蜂群」が,今や青息吐息状態に陥っている。政策の大きな変化が影響しているようだ。

良きにつけ,悪しきにつけ、まさに一カ所に留まっていない変化が中国全体を蔽っている。それは中国の「勢い」と言うことでもあり、これだから中国からは目が離せないのだ。