デジタル&デザインイノベーションが日本を凌駕する中国の原動力だ!

僕も参加する物学研究会が、今回は中国・広州市でデザインウイークの一環として開催された。展示会や講演会、表彰式など一連の行事に参加し、中国の若者達のデザインに対する熱意を肌で感じた。一方で我が国のデザイン状況についても考えさせられる機会となった。

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中国広州市でデザインウイークに参加

僕がディレクターを務める物学研究会(黒川雅之代表)が中国で開かれ、11 月末に広州に行った。「広州設計週」いわゆる広州デザインウイークの一環で開催され、講演者が物学から3名、中国側から3 名という構成だった。その講演や同時に行われたデザイナーの表彰式、視察した広州のデザイン拠点TIT Creative Parkや各種展示会の様子から、現在の中国のデザインに対する状況が見えてきた。

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広州での物学研究会 黒川代表のオープニング挨拶

広州での物学研究会 黒川代表の講演も佳境に

広州デザインウイーク 表彰式

中国を読み解くキーワードは「若さ」

今回広州で特に感じたのは、中国が「若い」ということだ。企業が若い、経営者が若い、デザイナーが若い、そして国も若いと思う。デザインウイークで表彰されたのは、90 年代生まれのデザイナー達で、それを見に来ているのは学生達が多い。デザインに寄せる若者達の情熱が日本の比ではないのだ。物学の講演でも中国と日本で、デザインに寄せる思いの差が歴然としていた。日本側が経営とデザインの関わりや、デザインとは何かと言ったある種哲学的なテーマだったのに対し、中国側はもっと即効性のあるテーマにこだわっていた。ともすると「パクリ」と言われてしまう中国のデザイン状況だが、欧米や日本のものを貪欲に取り込もうとする姿勢が若い世代のデザイン熱に表れているようだ。

広州デザインウイーク 展示会風景

展示会で多用される QR コード

デジタルとデザインに貪欲な中国

一方デジタルイノベーションの波は広州にも及び、当然購買はキャッシュレスだ。広州設計週の展示会場でも、展示品説明や一部物販はもっぱらQRコード設置で効率化を図っていた。TIT Creative Parkで入ったテンセントの店舗では WeChat Pay の多岐に渡る機能を紹介していて、彼らが生活の全てをそのアプリ内に取り込もうと考えていることが感じられた。今回の広州では、デザインとデジタルの両面からがむしゃらに前進する中国の「熱」に直に触れることができた。ひるがえって日本の状況はどうなのかと考えさせられる旅だった。

TIT Creative Park 内のテンセントの店舗

テンセント店内のディスプレイ