深圳は街中が実験で溢れ ちょっとした未来都市の様相を呈していた

今や中国におけるイノベーションのメッカとも言うべき深圳を訪ね、スタートアップの若い経営者達から自信に満ちたサクセスストーリーを聞いた。その若々しいエネルギーが現在と未来の中国を強力に牽引していくのだ。

平均年齢32歳の1,200万都市、深圳

2 月末、スピーディの福田社長と、ファーウェイやテンセントなどが本社を置く「中国のシリコンバレー」深圳を訪ねた。デジタル未来都市の印象が強い街には若者が溢れ、僕たちのような「おやじ」の姿はなく平均年齢 32 歳の街を実感。今回は、スタートアップ3社を訪問。KOL(日本のインフルエンサーに近いがもっと影響力大)を組織化しインフルエンサーマーケティングで中国最大の H I VE 社 、 ロボットアームに特化して用途開発を幅広く行っているDobot社、ナスダックにも上場しているスマホ ゲーム大手パブリッシャーiDreamSky社。それぞ れの経営者は20代~30代、テスラやベンツの高級車を乗り回す、まさに成功を絵に描いたような若者たちだ。自信満々で仕事が楽しくて仕方ないという高揚感がビンビン伝わってくる。これらスタートアップの詳細は、別の機会に詳しくお伝えする。

国家主導でスタートアップを育成する街

同じスタートアップでも日本と決定的に違うのは、深圳は国家が主導する経済特区ということもあり、市の支援が非常に手厚く、起業者には80万元〜150万元の支援金が、有望なプロジェクトには最大8,000万元もの資金が提供されるという。しかも失敗に寛容な風土は、トライ&エラーが盛んに行われ、開発のスピードが断然日本を凌ぐ勢いだ。

経済特区を感じさせる

これもスタートアップ?

イノベーションの巨大な実験場と言ってもいいのではないかと思う。製造業も裾野が広く、スタート アップがアイデアを製品化しやすい環境も整っている。その反面、僕が感じたのは「バブル」の危う さだ。特に金銭的な成功を当然のことと受け止めている若い経営者たちには、かつてどこかの国で見た光景のような既視感を禁じ得ない。それでも深圳の若者達の熱気は本物だ。彼らのミーティングの様子を見ているとまるで学生たちのクラブ活動のようで、全く残業を気にせず仕事に熱中する姿は、 中国の更なる伸び代を物語っているようだった。

墨絵を描くDobot社ロボットアーム

Artron Art Centerの本の壁
Artronグループは中国最大手の美術書籍印刷企業で、運営するArtron.Netは世界的な美術ウェブサイトだ